幽霊

乱雑性が増大するという原理によって、オブジェクトの喪失は常に起きている。
対自的な自己の認識をやめたとき、表出していない自己は死んでいるし、ラカンの寸断された身体のように対自的な認識や社会からのオブジェクトとしての認識がなければそもそも自己は存在し得ない。
記憶は代謝で削げ落ち、忘却される。

目の前にあるリンゴを食べたとき、そのリンゴというオブジェクトそのものは消失するが、リンゴというシニフィアンシニフィエも、"過去にあった"という修飾語が付加されるさけで大きくは変化しない。

このとき、人間は稀にオブジェクトの喪失に耐えられなく、
"過去にあった"という修飾語を度外視し、現状の誤認して幽霊を生む。
また、創作上の人物というのもこれにより発生する。